事業承継ガイド
歯科医院の事業承継に必要な手続き・届出・税金・契約のポイントを分かりやすく解説します。
ご注意
本ページは一般的な情報提供を目的としており、法的助言・税務相談を行うものではありません。 実際の手続きは弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
事業承継の基本
事業承継とは、事業の経営権や資産を現在の経営者から後継者へ引き継ぐことです。 歯科医院の事業承継には、大きく分けて以下の3つの方法があります。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 贈与 | 親族等に無償で事業を譲る方法。贈与税が課される場合があります。 |
| 相続 | 経営者の死亡に伴い事業を承継する方法。相続税の対象となります。 |
| 売却(M&A) | 第三者に対価を得て事業を譲渡する方法。TAKUSU Laboはこの方法を支援します。 |
TAKUSU Laboは、親族内に後継者がいない場合の第三者承継(売却・M&A)のマッチングを支援するサービスです。 売り手と買い手をつなぎ、スムーズな事業承継の第一歩をお手伝いします。
事業承継の全体フロー
第三者への事業承継は、一般的に以下のステップで進みます。
- 1
準備・意思決定
事業承継を行う目的・条件を整理し、スケジュールの目安を立てます。
- 2
マッチング
TAKUSU Dentalなどを活用し、条件に合う候補者を探します。
- 3
交渉・条件すり合わせ
専用掲示板と面談を通じて、譲渡条件(対価・時期・範囲など)を協議します。
- 4
基本合意
主要な条件について基本合意書を締結します。独占交渉権を付与する場合もあります。
- 5
デューデリジェンス(DD)
買い手側が財務・法務・事業の状況を精査します。専門家に依頼することが一般的です。
- 6
最終契約
DD結果を踏まえ、最終的な譲渡契約を締結します。弁護士の関与を推奨します。
- 7
クロージング(実行)
代金の支払い、資産の引渡し、届出手続きなどを行います。
- 8
届出・引継ぎ
保健所への届出、取引先への挨拶、従業員への説明など、事業の引継ぎを完了させます。
各ステップの詳細や契約書の作成については、弁護士・M&Aアドバイザー等の専門家にご相談ください。
売り手が準備すべきこと
スムーズな事業承継のために、以下の資料・情報を事前に整理しておくことが重要です。
- 事業の概要:売上推移、利益率、専門分野、主な顧客層
- 財務資料:過去3年分の確定申告書、貸借対照表、損益計算書
- 設備台帳:保有機器の一覧(CAD/CAM、焼成炉、技工用ユニット等)、購入年・状態
- 従業員情報:人数、雇用形態、勤続年数、引継ぎ希望の有無
- 取引先情報:主要取引先の歯科医院数、取引年数、売上構成比
- 賃貸契約:物件の賃貸契約内容、名義変更の可否、残存期間
- 負債・リース:借入金残高、リース契約の残期間・残額
事業評価や財務資料の整理については、税理士・公認会計士にご相談ください。
買い手が確認すべきこと
承継先を検討する際に、以下のポイントを確認しましょう。
- 財務状況:売上・利益の推移、未回収の売掛金、簿外債務の有無
- 顧客基盤:取引先の数と安定性、特定の歯科医院への依存度
- 設備の状態:主要機器の年式・メンテナンス状況、今後必要な設備投資
- 賃貸条件:賃料、契約残期間、名義変更の承諾が得られるか
- 従業員:承継後も勤務を継続する意向があるか、技術レベル
- 立地・商圏:周辺の歯科医院数、競合歯科医院の状況
- 法令遵守:歯科医院の開設届出が適正か、各種許認可の状況
デューデリジェンス(DD)の実施については、弁護士・公認会計士等の専門家にご相談ください。
事業価値の考え方
個人の歯科医院の事業価値は、一般的に以下の考え方で算定されることがあります。
事業価値 = 時価純資産 + 営業権(のれん)
営業権(のれん)= 直近の営業利益 × 1〜3年分 が目安
評価に影響する主な要因:
- 売上・利益の安定性と成長性
- 取引先(歯科医院)との関係の強さ
- 設備の充実度(CAD/CAM等のデジタル対応)
- 従業員の技術力と引継ぎ可否
- 立地条件と商圏の将来性
- 負債・リース残高
正式な事業評価は、公認会計士・M&Aアドバイザー等の専門家にご依頼ください。 上記はあくまで一般的な考え方の紹介です。
歯科医院特有の届出・手続き
歯科医院の事業承継では、以下の届出が必要になります。
売り手(譲渡する側)の届出:
| 届出 | 届出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 歯科医院廃止届 | 保健所 | 廃止後10日以内 |
| 個人事業の廃業届出書 | 税務署 | 廃業後1ヶ月以内 |
| 事業廃止届出書(消費税) | 税務署 | 速やかに |
| 給与支払事務所の廃止届 | 税務署 | 廃止後1ヶ月以内 |
買い手(承継する側)の届出:
| 届出 | 届出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 歯科医院開設届 | 保健所 | 開設後10日以内 |
| 個人事業の開業届出書 | 税務署 | 開業後1ヶ月以内 |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 | 開業後2ヶ月以内 |
| 給与支払事務所の開設届 | 税務署 | 開設後1ヶ月以内 |
届出の詳細な要件や必要書類は、管轄の保健所・税務署にご確認ください。 行政手続きの代行は行政書士・税理士にご相談いただけます。
税金のポイント
事業承継に伴い、売り手・買い手それぞれに税金が発生する場合があります。
売り手に関わる税金:
- 譲渡所得税:事業用資産の譲渡益に対して課税されます(総合課税または分離課税)
- 消費税:課税事業者の場合、設備等の譲渡に消費税がかかります
- 住民税・事業税:譲渡所得に応じて翌年度に課税されます
買い手に関わる税金:
- 不動産取得税:事業用不動産を取得した場合に課税されます
- 登録免許税:不動産の所有権移転登記に必要です
- 印紙税:契約書に貼付する収入印紙が必要です
個人版事業承継税制
一定の要件を満たす場合、贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度があります。 適用要件や手続きについては税理士にご相談ください。
税額の計算や申告手続きについては、必ず税理士にご相談ください。 上記は一般的な税目の紹介であり、個別の状況により異なります。
契約書の主な確認事項
事業譲渡契約書には、一般的に以下の事項が含まれます。
- 譲渡対象の範囲:設備、在庫、取引先との契約、のれん等、何を譲渡するかの明確化
- 譲渡対価と支払条件:金額、支払方法(一括・分割)、支払期日
- クロージング日:事業の引渡し・代金支払いの実行日
- 競業避止義務:売り手が一定期間・一定地域で同業を行わない約束
- 従業員の引継ぎ:従業員の雇用継続に関する条件
- 表明保証:売り手が事業の状態について保証する事項(財務・法令遵守等)
- 解除条件:契約を解除できる条件(重大な表明保証違反等)
契約書の作成・確認は必ず弁護士に依頼してください。 TAKUSU Dentalは契約書の作成・法的手続きの代行は行っておりません。
相談先一覧
事業承継では、以下の専門家に相談することで安全かつ円滑に進められます。
| 専門家 | 相談できること |
|---|---|
| 弁護士 | 契約書作成・レビュー、法的リスクの確認、紛争対応 |
| 税理士 | 税金の試算・申告、事業承継税制の活用、節税対策 |
| 公認会計士 | 事業価値の算定(バリュエーション)、財務デューデリジェンス |
| 司法書士 | 不動産の所有権移転登記、法人設立手続き |
| 社会保険労務士 | 従業員の雇用引継ぎ、社会保険・労働保険の手続き |
| M&Aアドバイザー | 案件全体のコーディネート、条件交渉の支援 |
| 中小企業診断士 | 事業計画の策定、経営改善のアドバイス |
| 金融機関 | 買収資金の融資相談、事業承継ローン |
公的支援制度
事業承継に関する公的な支援制度を活用できる場合があります。
各制度の適用要件や申請手続きの詳細は、事業承継・引継ぎ支援センターや税理士等にご確認ください。
その他:設備機器のみの譲渡
事業全体の承継ではなく、設備機器のみを売却・譲渡するケースもあります。 廃業予定だが機器にはまだ十分な価値がある場合や、買い手が既存の歯科医院で設備を増強したい場合などに検討されます。
対象となる主な設備機器:
- CAD/CAMシステム(スキャナー・ミリングマシン等)
- 焼成炉(ポーセレンファーネス・ジルコニアシンタリングファーネス等)
- 技工用ユニット・マイクロモーター
- 吸引装置・集塵機
- 3Dプリンター
- 鋳造機・埋没材関連機器
- コンプレッサー・バキューム装置
設備機器のみの譲渡における確認事項:
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 機器の状態 | 動作確認・メンテナンス履歴・購入年・使用頻度を事前に確認 |
| 価格の算定 | 購入時の価格・経過年数・市場相場を参考に適正価格を設定 |
| リース残債 | リース契約中の機器は譲渡不可の場合あり。リース会社への確認が必要 |
| 搬出・運搬 | 大型機器の搬出費用・運搬方法・設置工事の負担区分を事前に取り決め |
| 保証・サポート | メーカー保証の引継ぎ可否、保守契約の名義変更の可否 |
| 付属品・ソフトウェア | 専用ソフトウェアのライセンス移転、付属品・消耗品の有無 |
事業承継との違い:
- 取引先・従業員・のれん等は含まれず、あくまで動産の売買として扱われます
- 歯科医院の開設届等の行政手続きは不要です(買い手が新規開業する場合を除く)
- 売り手は譲渡益に対する譲渡所得税、課税事業者は消費税が発生します
- 買い手は取得した機器を減価償却資産として計上できます(中古耐用年数の適用)
機器の価格査定やリース契約の取扱いについては、機器メーカー・リース会社・税理士にご確認ください。 高額機器の売買では、売買契約書を作成し双方の責任範囲を明確にすることを推奨します。
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